国登録有形文化財 八鶴亭(本館・新館・宿泊館・浴室棟・ビリヤード棟)(はっかくてい(ほんかん・しんかん・しゅくはくかん・よくしつとう・びりやーどとう))
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指定内容
(国登録)
- 所在地・・・・・・・東金1406
- 所有者・・・・・・・株式会社 八鶴亭
- 登録年月日・・・平成21年5月14日
- 区分・・・・・・・・・有形文化財
- その他・・・・・・・5棟(本館・新館・宿泊館・浴室棟・ビリヤード棟)
紹介
八鶴亭(旧八鶴館)は、明治期創業の老舗旅館で、東金市を代表する景勝地 八鶴湖のほとりに所在しており、北原白秋や伊藤左千夫ら多くの文人墨客が訪れた。
現存する多くの建物は、大正から昭和初期に建てられ、そのうち本館、新館、宿泊館、浴室棟、ビリヤード棟の5棟が国の登録有形文化財に登録された。
本館は八鶴湖岸沿いの通りに位置し、木造2階建て、入母屋造瓦葺屋根を組み合わせ、1階には60畳の大広間や玄関・配膳室とあり、大広間天井には屋久島樹齢1,000年以上の杉 屋久杉を使用した格天井となっている。2階には個室を配し、各部屋は入口に差掛け屋根を付け、床柱、床框、落しがけには銘木を使用し、各部屋の天井は全て異なり、趣向を凝らした造りとなっている。本館東側に接続する新館は、木造3階建、棟が最も高く、湖側に破風を見せている。2階広間の床の間には黒檀の絞り丸太を据え、3階踊り場には唐傘天井を見せるなど、各所に意匠や銘木を違えている。新館の東側は宿泊館が続き、1階の西側にホール、東側及び2階に宿泊室を配し、この館には学習院中等科時代の継宮皇太子殿下(現、上皇陛下)が、昭和21年に御来館された。
最も高い新館を中心に棟高や屋根形式が異なる3棟が八鶴湖の景観に彩を添えている。また新館の南、渡り廊下を介して浴室棟―脱衣所・大浴場・ボイラー室・家族風呂など―と石造風外壁及び赤瓦が印象的なビリヤード棟が建っている。とくに家族風呂は市松模様にタイルを貼り、内壁に三蓋菱や円形の開口を設け装飾している。
なお、施工は地元大工の棟梁・戸村初太郎が手掛け、玄関については戦後に京都の数奇屋大工・中村外二により改修された。この中村は、昭和30年に神奈川県大磯にある吉田茂(元首相)別邸の建設を手掛けた人物である。