市指定文化財 朝岡興禎筆「春秋田園風俗図屏風」(あさおかこうていひつ「しゅんじゅうでんえんふうぞくずびょうぶ」)
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- ID:478
※現在、調査中のため現地にはありません。
指定内容
(市指定)
- 所在地 東岩崎1-1
- 所有者 (管理者)東金市長
- 指定年月日 平成20年3月31日
- 区分 有形文化財(絵画)
- その他 1枚
- 非公開
紹介
左隻
右隻
紙本著色(しほんちゃくしょく)の本間屏風で各隻156.2×349.8cm、金砂子(きんすなご)を散らし、紙は紙継ぎが下から約28cmのところに各隻一箇所ある2枚貼りである。落款は各隻とも「平洲筆(へいしゅうひつ)」款記、「興禎」白文方印、「瑞卿」朱文方印を捺す。これによって筆者が朝岡興禎であることが判明する。
右隻(うせき)は前方に春の田園風俗を描き、右後方に漁村を描いて赤々とした日輪を描く。中程に、桜が咲きほこる農家の玄関先で子どもたちが鶏と遊んでいるところが描かれる。その手前の田圃(たんぼ)では、牛を使って田を耕す人や鍬を使って耕す人を描く。その左には川があり、牛に乗って川を渡る牧童が描かれ、対岸には放たれた牛が遊ぶ。画面右上方に漁村が描かれ、州浜(すはま)が雪に覆われたように白く塗り込められる。
左隻(させき)は前方に秋の田園風俗を描き、左端に樵夫(きこり)を描いて遠山に月を配す。右には稲穂の実った田圃に鳴子(なるこ)が仕掛けられ、その左手には刈田が続く。画面中程を流れる川には橋が架けられ農夫が馬に荷を乗せて渡る。周囲の木々はすっかり紅葉しており、左端の山道には樵夫が薪を担いで歩く。その奥には滝が流れ、画面中央奥の遠山には月がかかる。
この屏風は、狩野栄川院典信(かのうえいせんいんみちのぶ)「春秋小屏風」六曲一双 霊鑑寺蔵と同じ図柄。栄川院本または同系統の作品を祖本とする。東金の大商家であった川嶋家が、ある時期(嘉永3年火災、新築以降であろう)、出入り商人を通して、没落した大名家より、金屏風とともに購入したとのこと。
現在は、調査・保存を兼ね城西国際大学水田美術館で保管されている。