ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

あしあと

    3.まちづくりの課題

    • [更新日:]
    • ID:729

    1.本市を取り巻く新たな時代潮流

    (1)価値観や生活様式の多様化

    戦後のわが国経済の驚異的な発展は、生活水準の向上をもたらし、それとともに人々の生活意識が大きく変化してきました。余暇時間の増大や情報化の進展などにより、市民の意識は量的拡大から質の重視へ、「もの」の豊かさから「こころ」の豊かさへと移行し、精神的な充足感がより重視され、市民のニーズはますます高度化、多様化していくものと考えられます。
    あらゆる世代の市民が生きがいのある生活をおくれるよう、こうしたニーズを的確に捉えていくことが重要です。

    (2)国際化の進展

    世界経済の多極化が進み、グローバル化が進展するなかで、人、もの、情報などの交流が飛躍的に増大し、その緊密性と必要性がより高まっていくと考えられます。
    こうしたなか、市民が国際感覚を身につけ、世界の国々や地域の人々との交流の輪を広げ、相互理解と友情のきずなを深めていく必要があります。

    (3)高齢社会の到来

    出生率の低下と平均寿命の伸長により、わが国は、現在、世界に例をみない速度で高齢化が進展しており、生産年齢人口比率の低下と高齢者の増加などによる福祉需要の増大から将来の社会保障のあり方が大きな課題になっています。また、人生80年時代をむかえ、高齢者がその豊富な経験や知識を活かし、積極的に社会参加ができるような「機会」や「場」の提供が求められています。
    こうした高齢社会に対応し、だれもが生きがいと誇りを持って安心して生活することのできる、活力ある地域社会を形成していくことが課題になっています。

    (4)環境・資源エネルギー問題の顕在化

    世界における急速な人口増加や生産・消費活動の拡大などにより、資源、エネルギー、食糧などの需要が増大し、地球温暖化やフロンガスによるオゾン層の破壊など、地球規模での環境問題が深刻化しています。このため、地球環境の保全と持続的成長の両立が国際的な緊急課題となっています。
    こうしたなか、国際的な環境保全対策はもとより、身近な地域社会での循環型社会の構築に向けた取り組みなど、都市レベル、市民レベルでの対応や行動の積み重ねが重要となっています。

    (5)経済社会の構造転換

    世界的に経済社会構造の変革が進展するなか、これまでの規格大量生産型の経済社会から、多種多様な知識集約型の経済社会へと、構造的な転換が求められています。
    また、今後のわが国経済は、急激な経済成長は望めず、安定的な低成長が続くものと見込まれています。
    こうしたなか、地域産業の一層の振興を図るためには、新しい経済環境に適応する優良な企業の誘致や新産業の創出を支援し、雇用の確保や複合的な都市機能の導入を図ることが必要です。
    また、地方行政においても、急激な歳入の増加を望むことは困難であり、今後も厳しい財政状況が続くと見込まれ、それに見あった構造転換が求められます。

    (6)高度情報化の進展

    科学技術の進歩やこれにともなう高度情報通信社会の到来は、社会経済活動や市民生活に大きな影響をおよぼしています。インターネットやISDN(総合的サービスデジタル通信網)、衛星通信をはじめとする新しい複合的な機能を持った情報通信メディアが開発され、さまざまな分野で生活の利便性の向上や産業の構造的変革をもたらしています。
    こうしたなか、高度情報化時代にふさわしい新しい都市環境の整備に取り組むとともに、行政情報を市民に提供し、行政運営の透明性の確保と市民参画の推進を図ることが課題となっています。

    2.市民の意見・ニーズ

    『東金市第3次総合計画』の策定にあたっては、市民 3,500人を対象に行った「東金市民アンケート調査」のほか、市内11か所で行った「21世紀ふるさとづくり懇談会」、若者や女性を対象とした「'99 青少年フォーラム」「'99女性フォーラム」、公募市民などにより組織された「21世紀東金づくり研究会」などを通じ、さまざまな意見や提言、要望が寄せられました。

    (1)住みよさ、定住意向

    アンケート調査によると、本市の住みよさについては前回(平成8年)調査に比べ「住みよい」が増え、「普通」をあわせると約8割が本市の「住みやすさ」を肯定的に評価しています。また、約60%が市内での永住を希望しています。その一方で「市外へ移転したい」も約15%ありました。その理由として、「通勤・通学や仕事の関係での交通が不便」「買い物等の生活が不便」があげられています。

    (2)まちの個性・将来像

    アンケート調査において“まちの個性と将来像”について聞いたところ、まちの個性として「緑豊かなまち」が、将来像として「自然環境を守るまち」「農業と住宅が調和したまち」が多くあげられました。自然や農地などの豊かな自然環境を本市の特徴ととらえ、これを守っていくことが望まれています。
    また、将来像として「福祉・医療のまち」も多くあげられ、市民が健康に暮らせるまちづくりも求められています。
    こうした、自然を守るまち、医療や福祉の充実したまちになって欲しいという意見や提言は、各地区の懇談会やフォーラム、また、研究会でも数多く寄せられています。

    (3)施策への要望

    アンケート調査では、「保健や医療・福祉施設の充実したまちづくり」「鉄道、バス路線など交通条件のよいまちづくり」「道路、下水道、公園などの都市施設の整ったまちづくり」「ごみ処理、リサイクル、河川浄化などの環境問題に配慮したまちづくり」の4つが多くあげられました。
    青少年フォーラムでは、鉄道やバスなどの公共交通機関、福祉施策に関する要望とともに、特に環境施策への積極的な意見があげられ、若い世代の環境問題に関する高い意識がうかがえます。
    また、女性フォーラムでは、保健・福祉に関する要望、特に子育て支援に関する要望が多く寄せられました。
    懇談会では、こうした市政全体にわたる施策の要望のほか、各地区における河川の改修や道路の整備など、個別の市事業に関する意見が数多くだされています。
    さらに、研究会では、高齢社会への対応や、子どもたちの育成、地域おこしを行うためのイベントの創出などに関する、具体的な提言が多くだされました。

    (4)まちづくりへの参加

    アンケート調査によると、市政やまちづくり活動への参加意向については、「機会があれば参加したい」が約4割を占め、「依頼があれば参加したい」「参加したことがある」を加えると4分の3を超えています。また、参加してみたい活動としては「保健や医療、福祉」が最も高く、次いで「環境美化、リサイクル」「文化、生涯学習」「スポーツ、レクリエーション」の順になっています。
    各地区の懇談会やフォーラム、研究会においても、ボランティア活動などの活用や市民活動への支援を求める声がだされており、市民のまちづくりへの参加意識が高まっていることがうかがえます。
    今後のまちづくりにおいては、こうした市民の意向を踏まえ、広く市民の知恵と活力を活かしていくことが必要です。

    3.本市の特徴と解決すべき課題

    現在の東金市の状況と本市を取り巻く諸情勢を踏まえ、市民と一体になって新しいまちづくりを進めていくため、取り組むべき課題を整理しました。

    (1)ふるさと意識の形成

    本市は、近年急激に都市化が進み人口が急増した自治体であり本市で生まれ育った市民だけでなく、他の土地で生まれ育ちその後、本市に転入してきた市民が多くなっています。急激な都市化は、ともすれば地域のつながりを薄め、市民間の連帯意識を乏しくすることが懸念されます。
    古くから住んでいる人たちも新たに転入してきた人たちも、ともに「ここがふるさとである」と思えるまちを築き、地域のつながりや市民の連帯意識を醸成していかなければなりません。
    このためには市民と市民の心がふれあう場や機会をつくり、ふるさと意識の形成に努めることが求められます。

    (2)都市の魅力づくり(市民生活の満足度向上)

    本市の活力の源泉は、住宅取得を目的とした定住志向の強い人々の流入が継続していることです。市の発展のためには、今後も引き続き、人口流入を維持するとともに、就職・進学などによる若い世代の流出の抑制や大都市などへ流出した市民のUターンを図るなど、世代を超えて定住化を促進していくことが重要です。このためには本市の総合的な魅力づくりを進めていく必要があります。また、このことは、住み続けてきた市民にとっても、生活の質の向上につながります。
    こうしたことから、必要な都市基盤施設の整備を継続するとともに、防災対策や子育て支援施策等の福祉施策等の充実を図るなど、市民が安心して暮らせる行政サ-ビスの提供を進める必要があります。また、生活に対する満足度を高めるためには、生涯学習、生涯スポ-ツなどにより市民間の交流の促進を図ることも必要です。

    (3)高齢社会への計画的な準備

    現在の本市の人口構成は50歳代の人口が少なく、本格的な高齢社会は他の自治体と比べて時間的に遅れ、ただし、その後は速度を速めて到来することが予想されています。こうした時間的な余裕を充分に活かし、高齢社会に的確に対応するため、医療・保健・福祉などのサービスを充実させるとともに、必要な社会基盤の計画的な整備を進めていくことが求められます。また、行政ばかりではなく、ボランティア活動の推進などにより、地域福祉の担い手の育成を図り、地域ぐるみで社会福祉に取り組むことも求められます。
    また、自立し、元気に活動できる高齢者を増やしていくため、健康づくりの啓発、生涯学習やスポーツ・レクリエーション活動などを通じた生きがいづくりや安心して外出できるまちのバリアフリー化などを進めていくことが求められます。

    (4)自然と共生する生活環境の創出

    本市の歴史は、江戸時代からつくられてきたため池や里山など、自然と人間とが共生する仕組みを生み出してきました。近年、宅地、工業団地等の大規模開発が行われ、一部の森林や台地上の農地などが失われてきたものの、幸いなことに本市特有の農地・森林や池沼・河川を中心とした自然環境の多くは現在まで受け継がれています。
    この自然資源の高い価値を再認識し、これらを慈しみ、自然と共生した生活環境を新たに創出していくことが必要です。このため、市民や企業の協力を得ながら循環型社会づくりを進める必要があります。

    (5)九十九里地域の中核都市としての発展

    本市は、九十九里地域の中核都市として発展してきました。行政機関や高等教育機関が多く立地しており、東金駅周辺や国道126号(バイパス)を中心とする商業集積は周辺地域から多くの人々を引きつけています。今後とも地域の中核都市として発展していくためには、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の開通をひかえ、本市が単なる通過地とならないよう、今後も地域の中心にふさわしい都市機能の集積を図る必要があります。
    また、本市の多様な産業構造を維持していくことは、雇用の多様性を確保するとともに、市の継続的な発展を図るためにも重要です。このため、農業については、後継者不足を解消するとともに、効率的な営農と安定的な生産活動に従事できる農業基盤を整備していく必要があります。また、工業では、道路交通アクセスの良さや豊かな自然資源といった本市の特徴を活かし、新しい産業の立地と育成を進めていく必要があります。さらに、商業では、サービスの向上や魅力づくりを進め、集客力を高めていく必要があります。
    本市の資源・可能性を最大限に活かした多様な産業育成を図ることで、本市を地域の中核都市として発展させ、あわせて地域全体の自立性の向上を図ることが求められます。

    (6)市民参画社会の実現

    市民の価値観やニーズはますます多様化しており、行政が市民生活のあらゆる場面にわたってサービスを提供することは困難です。これからは、市民が自らの手で自らの地域の課題を解決し、より良いまちづくりの担い手となっていくことも必要となり、行政には、その市民の主体的な活動をサポートすることが求められます。
    また、行政運営においては、より市民の立場にたったサービスの質の向上と効率化をめざすことが必要となります。そのためには、計画の立案、施策の実行、評価という一連のプロセスをつくることが重要であり、あわせて情報公開を推進することで、このプロセスの各段階で市民参画を促進しなければなりません。さらに、事業実施においてもボランティアやNPOなどの主体的な市民活動との連携を積極的に図り、市民と一体となった行政運営を推進することが必要です。